【今週の1点】牧 進「四季彩盛図」
2013.02.22
卓越した筆致で日本の四季の美を描く牧進は、師・川端龍子の死去に伴う青龍社の解散以後、一貫して無所属画家として、ひたすら独立独歩で創作活動に邁進し、今日の日本画壇に独特の光彩を放っています。
日本的美意識を追求した文豪・川端康成にも賞賛された名匠・牧 進による本作は、水仙、しだれ桜、牡丹、鉄線、蒲の穂先、蔦などの季節の花を竹籠の花器に盛った六態の図が描かれた、写生と装飾とを備えた創意工夫に富んだ六曲屏風です。
本作品は墨の竹林を図案化した背景に六枚の軸を貼ったような画面で、牧の端正にして優雅な花が、上品な色紙六枚にそれぞれ描かれており、その微妙な貼り位置、花と花器の選定等、全面に趣向が凝らされています。その練達の美技や平面的な仕上がりは、京都派のような典雅さよりも牧特有の竹で割ったような江戸の粋が感じられ、観る人に新鮮な喜びを与えるのです。